土壌・地下水汚染って何?
土壌・地下水汚染とは、人の活動によって排出された有害物質が土に蓄積され、それを摂取(粉塵・地下水飲用)することで人の健康等に悪影響を及ぼす現象をいいます。この汚染により、さまざまな経路で人の健康や生態系に影響を及ぼす可能性がありますが、これを規制する法制度として平成15年2月に「土壌汚染対策法」が施行されました。しかし、法に基づかない自主調査の増加、汚染土処分としての掘削除去への偏重など、様々な問題点が浮上し、それに対応するため、平成22年4月から「改正土壌汚染対策法」が施行されています。
改正法では、土壌汚染状況把握のための様々な制度の拡充を行い、また搬出汚染土壌の適正処理を確保するようにしています。調査機会についても従来の有害物質仕様特定施設の廃止時などに加え、一定規模以上の面積の土地改変時には都道府県知事の判断により、土壌汚染調査が行われることになりました。今後は様々な場所で、土壌汚染調査機会が増えることが予想されます。
さらに、前回の法改正から5年が経過し、土壌汚染対策法の見直し検討が行われ、平成29年1月20日から第193通常国会へ改正案が提出され、5月12日に可決成立しています。この改正による主な改正点は以下の通りです。
①土壌汚染状況調査の実施対象となる土地のさらなる拡大。
②汚染の除去等の措置内容に関する計画提出命令の創設等。
③リスクに応じた規制の合理化など。
これにより、さらなる調査機会の増加が見込まれると考えられています。
弊社では、今まで実施してきた土壌汚染調査に加え、地質調査で培われた様々な技術でトータルにお客様をサポートしていきたいと考えております。
株式会社フジタ地質は 環境省 土壌汚染状況調査指定機関 環2014-6-1001号 として登録されています。
土壌汚染対策法の概略図
フジタ地質の提供する土壌調査
調査の流れ
Phase1(フェーズ1)調査で、その土地がどのような変遷をたどってきたのか明らかにし、土壌汚染の可能性を調査します。
Phase1(フェーズ1)調査で汚染の可能性が認められた場合、Phase2(フェーズ2)調査を行い、実際の汚染状況を把握します。
Phase2(フェーズ2)調査で実際に汚染が確認された場合、Phase3(フェーズ3)調査を行い、対象地の汚染範囲を確定します。
今後の土地利用に応じた適切な処理方法について相談、可能であれば業者等を紹介します。
Phase1(フェーズ1)調査で汚染の可能性が認められた場合、Phase2(フェーズ2)調査を行い、実際の汚染状況を把握します。
Phase2(フェーズ2)調査で実際に汚染が確認された場合、Phase3(フェーズ3)調査を行い、対象地の汚染範囲を確定します。
今後の土地利用に応じた適切な処理方法について相談、可能であれば業者等を紹介します。
Phase1 - 資料等調査
Phase1調査は、現地での土壌試料を採取しないで土壌汚染のおそれを書類・資料から判断する調査で、改正土壌汚染対策法で重要な位置づけになります。土壌調査を行うに当り、土地の使用履歴・有害物質の使用履歴を確認することは重要ですが、資料等調査で「有害物質の使用履歴がない」=「汚染がない」かといいますと、必ずしもそうではありません。(造成時持ち込まれた基準値を超える土砂や自然由来の基準値超過土壌など)
逆に「汚染のおそれがある」と判定されても、実際の土壌調査では不検出の場合もあります。
従いまして、資料等調査はあくまで土壌汚染の可能性を探るためのひとつの判断材料という位置づけでお考えくださいますようお願いいたします。
資料等調査の内容
- 登記簿謄本による土地の履歴調査
- 旧版地形図(古地図)による(広範囲な)土地の履歴調査
- 航空写真による土地の履歴調査
- 住宅地図による土地の履歴調査
- 現地踏査とヒアリング調査(不要な場合、ヒアリング不可の場合省略)
- 地質図、ボーリングデータ等による評価
必要な資料
(1) 基本となる資料
法 律 | 水質汚濁防止法 | 下水道法 |
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届出書類 | ・特定施設設置(使用・変更)届出書 ・特定施設使用廃止届出書 ・水質測定記録表 |
・公共下水道使用開始(変更)届 ・公共下水道使用開始届 ・特定施設設置届出書 ・特定施設使用届出書 ・特定施設の構造変更届出書 ・特定施設使用廃止届出書 |
水質汚濁防止法 | 届出書類 ・特定施設設置(使用・変更)届出書 ・特定施設使用廃止届出書 ・水質測定記録表 |
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下水道法 | 届出書類 ・公共下水道使用開始(変更)届 ・公共下水道使用開始届 ・特定施設設置届出書 ・特定施設使用届出書 ・特定施設の構造変更届出書 ・特定施設使用廃止届出書 |
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(2) 使用状況に関する資料
項 目 | 有害物質使用特定施設及び関連する配管、地下ピット、排水ます等の配置に係わるもの | 特定有害物質の取扱に係わるもの(廃棄物を含む) |
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収集資料 | ・施設配置図 ・排水経路図 ・配管図 |
・現在使用等(移動作業含む)の場所の資料 ・運搬、保管、廃棄にかかわる場所の資料 |
有害物質使用特定施設及び関連する配管、地下ピット、排水ます等の配置に係わるもの | 収集資料 ・施設配置図 ・排水経路図 ・配管図 |
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特定有害物質の取扱に係わるもの(廃棄物を含む) | 収集資料 ・現在使用等(移動作業含む)の場所の資料 ・運搬、保管、廃棄にかかわる場所の資料 |
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※収集資料には、既存資料に加えて工場・事業場の施設担当、熟練工やOB等関係者への聞き取り調査結果を含む。
(3) 土地履歴に関する資料
項 目 | 対象地及び周辺地域の土地利用の変遷 |
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収集資料 | ・土地、建物の登記簿謄本(法務局) ・旧版地形図、旧土地利用図(国土地理院) ・過去~現在までの住宅地図(図書館等) ・航空写真(財団法人 日本地図センター) |
対象地及び周辺地域の土地利用の変遷 | 収集資料 ・土地、建物の登記簿謄本(法務局) ・旧版地形図、旧土地利用図(国土地理院) ・過去~現在までの住宅地図(図書館等) ・航空写真(財団法人 日本地図センター) |
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資料等調査の実例
(1) 旧版地形図推移(戦前の射撃場が田を経て園芸実習場になっている)
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明治43年
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昭和41年
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昭和57年
※この地図は、国土地理院発行の2万5千分1地形図(岡山北部)を使用してものである。
(2) 航空写真推移(低層建物群がショッピングモールとなっている)
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昭和22年
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昭和45年
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平成4年
※国土地理院撮影の空中写真。
Phase2 - 概況調査
Phase1(資料等調査)により、土壌汚染のおそれがある場所が推定された場合、その場所を中心に表層の土壌資料採取を行います。
土壌試料採取の基本的な考え方
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① 土壌汚染が存在するおそれがない土地
試料採取は不要。② 土壌汚染の存在するおそれがある土地
100m2(単位区画)毎に1地点(図a)採取する。③ 土壌汚染の存在するおそれが少ない土地
第2種特定有害物質(重金属等)、第3種特定有害物質(農薬類・PCB)は、900m2(30m格子)毎に原則5地点採取、等量混合して1試料とする(図b)。
第1種特定有害物質(VOC)は中央1地点で採取する(図c)。ただし、ガス採取を省略し、深度方向のボーリング調査と溶出試験を行ってもかまいません。
この結果、土壌汚染の存在が確認された場合、あらためて100m2(単位区画)毎に1地点(図a)採取する。
採取手順
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第1種特定有害物質(VOC)採取
- ハンマードリルにより削孔を行い、ステンレス保護管を挿入する。
- 上面の隙間を粘土等で覆い、30分~1時間放置する。(ガスをためるため)
- ステンレス孔内に採取管の一端を挿入し、もう片方を負圧ボックス内に設置したテドラーバックに装着した後、テドラーバックに表層土壌ガス約1000mlを採取します。(図d)
- 採取後、冷暗所(クーラーボックスなど)に保管し、速やかに分析機関に持ち込みます。
- ガスが検知(0.1volppm ただしベンゼンのみ0.05volppm)された場合のみ、追加ガス調査を行って汚染範囲を確定し、ボーリング(土壌採取)後、土壌溶出試験を行います。
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第2種(重金属類)、第3種(農薬類・PCB)特定有害物質採取
- 土壌の試料採取は表層(地表より5cm)と、5cm~50cmまでの試料を均等に個別に採取し、等量混合後1試料とします。(図e 左)地歴調査等で過去に汚染のおそれが生じた位置が、現況地盤面より深い震度にあると思われる場合は、汚染のおそれが考えられる位置(旧地表面)より深度50cmの採取を行います。
- 表面が、コンクリート・アスファルト舗装で覆われている場合は、その下の砕石も含めて、その下層を基準に「5cmまで」と「5cm~50cmまで」の試料を均等に個別に採取し、混合して1試料とします。(図e 右)
- 特定有害物質を使用していた地下タンクなどがある場合は、その底版+砕石基礎下面を基準として同様に採取します。
Phase3 - 深度方向・詳細調査
- 概況土壌調査(Phase2)により土壌汚染が判明した場合、深度方向に詳細調査を実施します。 調査範囲として、第1種特定有害物質は地表面-10.0mあるいは難透水層の上面まで、第2種・第3種特定有害物質は、汚染地下水が滞水する。難透水層の上面まで行います。
弊社では、土壌汚染調査専用ボーリングマシン(ECO-1V)を使用して、スピーディーに作業を行います。
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ボーリングマシンによるサンプリング
ECO-1Vで採取したコア状況の例
採取手順
① 低騒音急速削孔土壌汚染調査機
バイブレーションによる低振動の低騒音で迅速に調査が可能。ロータリー式と比べ熱の発生を格段に抑えられ、揮発性有機塩素化合物の気化を格段に抑えることが可能。
② 水を使わない無水掘り
バイブレーションによる振動の無水掘りにより、掘削水を使用しない。揮発性有機塩素系化合物(VOC)は水に溶けるので、調査時の水の使用は厳禁である。
③ 周辺環境に優しく、自走式で狭い場所でも可能
環境適応型のミニパワーショベルをベースマシンにしているので、低騒音で周辺環境に優しく、クローラによる自走式であるので調査ポイントの移動がスピーディーで、狭陰地での作業が可能。