司馬遼太郎の「坂の上の雲」によれば、
児玉源太郎は、旅順攻囲戦において、突撃の命令を繰り返しては膨大な死傷者をだしている乃木希典大将に変わって指揮をとり、203高地を陥落させた。
この時、児玉源太郎がまず行ったのは、前線を視察し、遠くから撃っていた重砲を、もっと前線近くへ移動するように命じたことである。
重砲に詳しい参謀は、いろいろ理屈をならべて無理だと主張したが、児玉の命令によって、1日で重砲は203高地の正面で、より前線に近い位置に据えられた。
これにより日本軍の突撃を容易にし、203高地はあっけないほどの簡単さで奪うことができた。
このことが、日露戦争の勝利に大いに結びついた。
以上のことは、現在急激な不況に見舞われている企業経営にも参考になる。
まず、状況をよく見極めることだと思う。
児玉源太郎は、ろくに前線も見ずに指令をだしている参謀とは違い、危険を冒して前線まで出かけて、状況を見極めている。
そして、業績を好転させるにはこれしかないと判断すれば、不可能と思われても、本気でやって見ることだと思う。
重砲の移動においても、できない理由を参謀はいろいろ言ったが、結果として1日でできている。
また、士気を上げて突撃を行うのもいいが、無策に繰り返せば損害を大きくするだけだ。
第7師団は旅順攻撃において、わずか5日で1万5千人の兵力が千人にまで減ったということだ。
今やっていることが、
「本当にこれでいいのだろうか、もっと良い方法はないだろうか」
と問い直すことも必要だと思う。
203高地攻略から
2009/02/07 社長ブログ