砂地盤の液状化

2009/03/26 社長ブログ

 前回のブログで、粘性土地盤の圧密沈下に関することを書いた。
 砂地盤では、水の通りは良いので建物が完成した時点で沈下は終了しており、沈下量もほとんど問題にならない場合が多い。
 砂地盤で問題となるのは、液状化現象である。
 砂地盤の液状化で思いだすのは、昭和39年の新潟地震で、私が中学3年生のときだ。
 建物自体は壊れていないのに転倒している4階建のアパートが、テレビのニュース番組で映し出されたのを覚えている。
 地盤の液状化は、水を多く含む緩い砂層で起こりやすく、粘性土層では起こらない。粘土分を多く含む砂質土層や砂礫層では起きにくい。
 では、なぜ地震時に砂地盤の液状化現象が起こるか簡単に述べると、通常砂地盤では地下水位以下であっても、荷重は砂の粒子から粒子へと伝わっている。砂と砂の間の水圧(間隙水圧)は地下水面からの深さに相当する分だけである。
 ところが、地震時に地盤が激しく揺すられると、砂の粒子が密に集まろうとするため、間隙水圧は上昇する。揺すられるのが瞬間だと間隙水圧は一時的に上昇してもすぐに通常の水圧に戻るが、地震のように繰り返されると間隙水圧は次第に上昇し、砂の粒子を伝わる荷重が減少して0になった時、砂は浮遊状態になり砂地盤の液状化現象が生じる。
 地盤が液状化すると浮力が働き、浄化槽などが浮き上がることがある。重い建物は液状化した地盤へ沈む。建物の下が均等に液状化するわけではないので、建物は傾いて沈み、転倒することもある。
 また、液状化した砂層は圧力のかかった液体と同じだから、地上へ噴出することもある。
 建物を建てるための地盤の調査において、地盤の支持力、沈下と共に、砂層の液状化に関する検討も重要なチェック事項のひとつである。