低価格への挑戦

2009/11/08 社長ブログ

 先日、建築会社経営者で一級建築士のMさん、土木設計技術士のGさん、複数のレストランを経営されているYさん、そして私の4人で、岡山市内にある居酒屋にて、晩秋の夜の酒を酌み交わした。
 話題は、共通の趣味になりかけている自転車と、昨今の経営に関すること。

 MさんとGさんは、建設関連業で共に現在不況の真っ只中にある業種であるが、二人とも多くの受注を抱え、かなり忙しいらしい。
 Gさんは、依頼していただける仕事は断らない方針であるが、もうどうにもならず、先日やむを得ず大きな仕事をお断りしたとのこと。

 二人の共通点は人柄が良く、その人格が滲み出ていて、どう見ても、人を騙したりするようには見えず、顧客に安心感を与えていると思う。
 そして、もうひとつの共通点が、会話の中から明らかになってきた。
 それは、基本的にお客様の言われる価格で受注しているということである。
 「材料がいくらで、工賃がいくらで、それに経費と利益を上乗せして価格を決定し、『この価格でないと受注できません』なんてことを言っていたら、今では話にならない。お客様が『この価格でやっていただきたい』と申されたら、それでやるように考え、工夫して仕事をし、利益をだすように努力している。」
と、Mさんは言われた。
 MさんやGさんの人柄を知っている顧客は、『安い価格で仕事を依頼しても、手を抜いたりすることを絶対しない会社だ』と、信頼して仕事を発注できるから、仕事が集中していると思う。

 Mさんが言うように、以前は、材料と工賃に経費と利益を上乗せして価格を決めていた。ようするに自社の都合により価格を決定していたが、今はこれが通用しない時代になっている。
 現在は、市場により価格が先に決定し、その価格で必要な品質を確保しながら、収益を確保していかなければならない。
 
 話は変わるが、先日Yさんが経営する洋食店で昼食をとった。コーヒー、スープ、カレーがお代わり自由で、料理の内容も良く、かなり割安感があり、店は繁盛しているようであった。
 「今の時代だから、できるだけ安くして、満足していただけるよう努力している。」
というようなことを、Yさんは言われていた。

 最近まで、自社の技術や商品を安売りすることに抵抗感があったが、
 『お客様の立場に立って、必要なものを必要な品質で、できる限り安く提供することも、現在必要とされている技術力であり、経営力でもある』
というように考え、低価格で提供させていただくことに挑戦していくことも必要なことだと、大不況の中を生き生きと働いている二人の技術者と、レストラン経営者の話を聞いて思った。